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キノコの森林 後回し 出荷できず農家ため息

キノコの森林 後回し 出荷できず農家ため息

東京新聞2012年8月22日 朝刊

「街の中はともかく、こんな広い場所を除染するなんて、途方もない話。不可能に近いよ」
 薄暗く湿気の多い山林に、長さ約九十センチの原木が縦横に並ぶ。東京電力福島第一原発から百キロ以上離れた栃木県鹿沼市。無農薬にこだわり、原木シイタケ作りを四十年以上も続ける農家岩本文雄さん(71)は、広大な山林を見渡した。
 一万二、三千本の原木から、春と秋に毎年計八トンのシイタケを収穫してきた。しかし、鹿沼市産の原木生シイタケから国の基準値を超える放射性セシウムが検出され、四月に出荷停止に。岩本さんは、今年は原木に菌を植えるのもやめた。「今の原木は汚染されて、恐らくもう使えない」。東電から賠償金は出るが、生業を封じられた悔しさが募る。
 栃木県産の原木生シイタケは、生産量が全国二位(二〇一〇年)。それも含めて、栃木県産キノコが市場から消えてしまう危機にある。昨秋から、露地栽培のナメコ、クリタケ、シイタケなどが相次いで基準値超えし、多くの市町で出荷停止に追い込まれている。郷土料理の食材の野生チチタケからも最近、基準値の数百倍のものが見つかった。
 だが、産地の森林は除染が手付かずのままだ。
 国の「汚染状況重点調査地域」に指定された鹿沼市は、西北部の山間部を中心に一時間当たりの空間放射線量が〇・二三マイクロシーベルトを超える。市が定めた除染実施計画では、子どもが集まる小学校や公園、公共施設を最優先とし、山林や里山は事実上未定の扱いだ。
 林野庁の担当者は、除染について「人への影響という観点が前提」と指摘。人の出入りが少ない森林や農地は、どうしても後回しになる。
 政府の原子力災害対策本部が定めた森林の除染方針では、面積の大きい森林で腐葉土をはいだりすれば「膨大な除去土壌が発生し、森林の災害防止機能を損なう可能性がある」と、森林全体の除染には慎重。「落ち葉の除去は、林縁から二十メートル程度の範囲を目安に行う」としているだけだ。
 環境省は、日常的に人の出入りがあるキノコ生産地も除染対象にするよう検討している。「森林や農地を除染する目的は、継続的に営農できるようにすること。放射線量を下げることだけが目的ではない」。栃木県原子力災害対策室は強調するが、長期戦を強いられそうだ。
 県は放射性物質に汚染された原木を交換するため、新たに七十五万本を調達しようと奔走している。新品の原木を使ったシイタケの試験栽培も始めた。キノコが旬になる秋を前に、先の見えない模索が続く。

<除染実施計画> 放射性物質汚染対処特措法に基づき、汚染状況重点調査地域の市町村がそれぞれ策定。除染する区域や方法、対象施設の優先順位などを明記している。2013年8月末までに、年間の追加被ばく線量を11年8月末と比べて約50%(子どもは約60%)減らし、長期的に追加被ばく線量を年間1ミリシーベルト以下にすることを目指す。
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 宮城県地域連合労働組合(宮地連)は3・11大震災の被災者支援活動を継続しています。
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