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焦点/震災11ヵ月がれき山積み/進まぬ広域処理「放射能」に拒否反応

焦点/震災11ヵ月がれき山積み/進まぬ広域処理「放射能」に拒否反応

河北新報2012年02月12日日曜日

 東日本大震災の災害廃棄物(がれき)の広域処理が進んでいない。現在受け入れているのは東京都と山形県だけで、検討を表明した自治体は、福島第1原発事故に伴う放射性物質が一緒に持ち込まれると懸念する住民の強い反発に苦慮している。環境省は2014年3月末までをめどに処理を完了するとしているが、遅れる可能性もある。(玉応雅史、山並太郎、上村千春)
 秋田県の佐竹敬久知事は7日、岩手県庁を訪れ、岩手県のがれきを受け入れるための基本協定を達増拓也知事と結んだ。佐竹知事は「放射線の不安があったが、がれきの測定値を見て安全に処理できると確信した」と決断の理由を述べた。
 岩手県のがれきの広域処理で、協定を結んだのは東京都に次いで秋田県が2例目。山形県は県との協定なしで受け入れている。
 受け入れに前向きな姿勢を示している自治体は、神奈川県、埼玉県、千葉県、石川県、静岡県など増加している。10日には受け入れ方針を示している静岡県島田市が、試験焼却するため岩手県山田町のがれき搬出を始めた。環境省廃棄物対策課は「東京都が一歩踏み出した効果が大きい」と話す。
 昨年11月に宮古市のがれき処理を始めた都は12月、宮城県女川町のがれきも試験焼却。これまでに受け入れた岩手、宮城両県のがれきは約2415トン。14年3月末までに約50万トンを処理する考えだ。
 しかし、受け入れに前向きな自治体の前には、放射性物質を心配する住民の反発という壁が立ちはだかる。
 神奈川県の黒岩祐治知事は昨年12月、県議会で「被災地に手を差し伸べたい」とがれき受け入れを表明。自ら1月に宮古市、宮城県南三陸町を視察した上で、住民に理解を求める集会を3回開いているが、いずれも紛糾した。
 大仙市の栗林次美市長も1月30日に受け入れを表明したが、これまで190件の問い合わせが殺到。8割以上が受け入れに反対だった。
 環境省が2月に公表した資料によると、岩手県のがれき推定量は約476万トン、宮城県は約1569万トンに上る。宮城県の一般廃棄物の19年分、岩手県でも11年分という膨大な量だ。岩手県の工藤孝男環境生活部長は「がれき処理は被災地にとって復興の1丁目1番地」と語る。
 宮城県は少なくとも約344万トン、岩手県も約57万トン分が自らの処理能力を超え、他県の協力を必要としている。原発事故があった福島県は当面、県内で処理する。
 各地で起こる拒否反応に、県とは別の独自ルートで広域処理を模索する市町村も頭を抱える。
 がれき総量を約82万トンと見込む釜石市は、不燃物を県外の自治体に引き受けてもらおうと交渉を進めたが難航。このため分別を徹底して処理量を減らし、仮置き場への搬入・搬出時に放射線量を測るなど努力している。
 市の担当者は「受け入れのお願いさえしにくい状況だ」とため息をつく。

<復興遮る山>
 東日本大震災の発生から11日で11カ月となった。甚大な被害を受けた東北3県の沿岸部には、今もがれきがうずたかく積まれている。
 石巻市の旧北上川沿いの仮置き場でも、がれき処理はなかなか進まない。被災地以外の自治体でがれき受け入れが難航していることも、処理の遅れにつながっている。
 寒々しい「山」は、いつになったら被災地から姿を消すのか。あと1カ月で震災から丸1年。視界を遮るその高さが、復興の行方も見えにくくしているかのようだ。

◎不安の壁積み上がり/受け入れ表明の神奈川県/住民猛反発、対話は紛糾

 被災地のがれき広域処理に名乗りを上げた自治体が、住民の猛反発に遭っている。福島第1原発事故に伴う放射性物質が持ち込まれると不安視する声が根強いためで、どう住民の理解を得るか頭を悩ませている。
 岩手、宮城両県のがれきの受け入れを表明した神奈川県。黒岩祐治知事は1月30日、神奈川県庁で、県民の理解を求める集会「対話の広場」に臨んだ。集会は3回目で、約220人の参加者でほぼ満席となった会場は異様な雰囲気に包まれた。
 黒岩知事は「安全ながれきだけを受け入れる」と強調したが、声を上げた参加者は全員、放射性物質への不安を理由に反対を表明した。
 「被災地を見て分かった。がれきが放射能で汚染されているというのは、実はある種の錯覚だ…」
 「うそ言うな!」「錯覚じゃない!」
 黒岩知事が昨年12月に視察した宮古市のがれきの処理状況を説明すると、鋭い声が響き渡り、会場は騒然となった。
 知事は、同市のがれきを受け入れている東京都のデータを基に説明。処分委託業者4社が扱う可燃物の放射線量は1社が111ベクレルだったが、他の3社は100ベクレル以下だったことを示し「がれきの放射線量は低い」と繰り返したが、反対派は「放射性物質を持ち込まないで」の一点張りだった。
 国のガイドラインでは、1キログラム当たり100ベクレル以下のがれきは放射性物質として扱う必要がない。焼却した場合は最大33倍に濃縮されるが、安全に埋め立てられる基準8000ベクレルを大きく下回る。
 同席した岩手県の工藤孝男環境生活部長は「会場の雰囲気で発言できない賛成者もいた。冷静に話し合えれば分かってもらえると思うのだが」と困惑した表情だった。
 神奈川県の案では、がれきを鉄道などで輸送し、県内3市で焼却。灰を横須賀市内の最終処分場に埋め立てる。灰は拡散しないよう管理し、放射線量は随時公表する。
 ただ、東京湾に最終処分場を持つ東京都と違い、神奈川県の処分場は丘陵地で数百メートル先に民家がある。地元自治会とは県内の廃棄物を処理するとの内容の協定を結んでおり、がれき受け入れには住民の理解が欠かせない。
 黒岩知事は対話の広場終了後、記者団に対し、「罵声、怒号を浴びても被災地を救いたいという私の心は折れていない。理解してもらうためにやり抜く」と話した。

◎お願いする立場だが…怒号「切ない」/岩手の被災地

 東日本大震災の被災地で発生したがれきの広域処理が、福島第1原発事故に伴う放射線の影響で受け入れ先の理解がなかなか得られない現状について、岩手県の被災地の住民は「処理をお願いする立場で、大きな声は上げにくい」と複雑な思いを抱きながら、今後の推移を見守っている。
 「(神奈川県などの)説明会場で怒号が飛び交う状況をテレビで見ると、本当に切ない」。大槌町議の里舘裕子さん(62)は胸の内を明かす。「がれき処理が滞れば、復興も進まない」とした上で「お願いする以上は、被災地の気持ちを何らかの形で受け入れ先に伝えたい。前提として、国が責任を持ってがれきの安全性を説明してほしい」と言う。
 宮古市の菓子製造業菅田正義さん(53)も「受け入れ先の住民の不安は理解できる。感情的にならないためにも、放射線の正確な情報が重要だ」と訴える。
 「広域処理を一方的にお願いするだけでなく、自分たちの地域でできる努力を尽くすことも大事」と言うのは、釜石市の栗橋地区まちづくり会議の菊池正明議長(76)。
 釜石市は、がれきの焼却処理を進めるため、2年前に休止した栗橋地区の旧清掃工場を10日に再稼働させた。同地区は受け入れを決め、市と環境保全協定を締結した。菊池さんは「被災地も努力していることを示せば、必ず理解してもらえると思う」と話す。

<冷静なる理解を/ 廃棄物処理に詳しい颯田尚哉岩手大農学部教授の話>
 原発事故後の放射性物質の広がりや放射性セシウム濃度といった科学的なデータを見ると、がれきの放射線量は気にしなくていい。不安は心の問題で、何が怖いかは個人によって異なるが、適正に処理されれば、生活圏で被ばく量は上昇しないということを冷静に理解してほしい。行政も処理実績の情報を粘り強く発信し、不安を信頼に変えていく努力が必要だ。
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 宮城県地域連合労働組合(宮地連)は3・11大震災の被災者支援活動を継続しています。
 このブログでは被災地に関連する報道を全国のみなさんにお伝えします。

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